クローン病の標準治療 アメリカ消化器学会の場合 その3 活動期の軽・中症患者治療

2005年04月19日

成人クローン病患者の治療(Management of Crohn's Disease in Adults)(注意!pdf書類)(American Journal of Gastroenterology Vol96.No.3, 2001)』の「管理(Management)」の「一般的なこと(General)」と「活動期の軽・中症状(Mild-Moderate Active Disease)」の部分。

ポイント by くろーん40
・活動期の軽・中症患者に対し、ペンタサ(メサラジン)かサラゾピリン(スルファサラジン=5-ASA)服用が基本で、ペンタサ、サラゾが効かなければ抗生物質(フラジール)、抗菌薬(シプロキサシン)が効く場合もある。
・ペンタサの基準服用量は日本(3g=12錠)より多い3.2-4g(=16錠)。

くろーん40のコメント:量を除いたら「日本と(殆ど)同じじゃないか」と一瞬思うが、アメリカの場合は「活動期」の炎症を抑えるための治療法である。一方日本の場合、「活動期」の炎症を抑えるのは薬よりも絶食と栄養療法で、薬は再燃防止の意味合いが強いと思う。




管理(Management)
一般的なこと(General)
患部の場所、重傷度、合併症の有無により、治療がことなる。治療に対する反応と許容度により治療のアプローチの仕方は個別的なものとなる。治療の手順としては、まず「急病(acute disease)」に対処し、「緩解」を維持することになる。外科手術は酷い狭窄、化膿性の合併症、或いは薬で対処できない難治性の場合である。麻薬性の鎮痛薬は手術中、またはその前後以外は使うべきではない。なぜなら慢性病であるため濫用の危険があるためである。

活動期の軽・中症状(Mild-Moderate Active Disease)
回腸(ileal)、回結腸間?(ileocolonic)、大腸(colonic)型はアミノサリチル酸(aminosalicylate: メサラジン(mesalamine)3.2-4.0gかスルファサラジン(sulfasalazine)3-6gを一日数回に分けて)を服用する。またはスルファサラジンが効かない患者の中にはメトロニダゾール(metronidazole:フラジール)10-20mg(1日1kg当たり)が効く事がある。シプロフロキサシン(ciprofloxacin)を1日当たり1g服用することもメサラジン同様に効果的である。また近い将来、回腸部に的確に放出できるブデソニド(budesonide)が代替薬として利用できるようになるだろう。

=上記治療にかかわる治験=
*スルファサラジンとメサラジン*
70年、80年代にアメリカとヨーロッパで管理された大規模比較治験(large controlled clinical trials)が行われ、活動期の回結腸間?(ileocolonic)、大腸型に対し、スルファサラジンの効果が偽薬(placebo)を16週間に渡って上回った。ステロイドほどの効果は無かったが、約半数の患者が緩解を導入できた。スルファサラジンは活動期の小腸型に対してコンスタントな効果は無かった。まだスルファサラジンを他のアミノサリチル酸と比較する十分な治験はこれまでなかった。異なる形であるメサラジンも1日3.2-4.0gの服用が軽・中症の患者の急性治療(acute treatment)に効果的である。しかし、全ての治験においてメサラジンの効果は偽薬を上回っていない。回腸、回結腸間?(ileocolonic)、大腸型、それぞれのための治療薬として、区別するためにメサラジンの型を比較するだけでは不十分であった。実際の臨床の場では普通に使われているにもかかわらず、遠位結腸用の局所薬を決めるために、直腸用のメサラジンも直腸用の副腎皮質ステロイドも比較治験では十分な検討がされていない。

*メトロニダゾール*
偽薬との比較において、1kg当たり10又は20mgのメトロニダゾールは回結腸炎(ileocolitis)と大腸炎に対して回腸型に対してよりも効果的であった。参加者の数(sample size)は服用に対する反応を決めるには十分ではなかった。メトロニダゾールは又北欧での16週間の治験において、スルファサラジンと比べられた。当初の反応は似たようなものであったがスルファサラジンが効かなかった患者にはメトロニダゾールが効く事が多く、またその逆も真であった。メトロニダゾールについては長期のデータがない。しかし末梢神経障害(peripheral neuropathy)の副作用があり、症状や知覚障害(paresthesias)の兆候をモニターする必要性がある。

*シプロフロキサシン*
1日当たり1gのシプロフロキサシン服用は6週間という短い期間の比較治験(controlled trial)において、メサラジン4g服用と比較された。それぞれの薬を服用した患者のうち、50%の患者が緩解期を導入できた。比較方式でない治験(uncontrolled trial)では、シプロフロキサシンとメトロニダゾールの両方を服用した場合の方が、どちらか片一方のみを服用した場合より良い結果を得られた。一方で複数の抗マイコバクテリア薬を服用する比較治験を行ったが、短期、長期とも効果は認められなかった。

*ブデソニド*
幾つかの国では、的確に放出できる(controlled-release)ブデソニド製剤(FDA未承認)が回腸末端部と、或いは又右側大腸を患部とする軽・中症CD患者向けに使われている。

*プロトンポンプ阻害薬、抗生物質*
上部消化器官(食道、胃、十二指腸、空腸、回腸)を患部とするCD患者の治療の根拠となる証拠は不十分である。上部消化器官型のCD患者は比較方式でない治験において、プロトンポンプ阻害薬で胃酸を抑える治療が効果があったと伝えられる。空腸回腸部分は小腸内バクテリアの増えすぎによって複雑化しており、複数の抗生物質をかわるがわる服用することが効果がある。

初期の治療が奏効したかどうかは、数週間以内に評価されるべきである。活動期の治療は症状を抑えることにポイントを置くべきであり、さもないと回復は失敗する。緩解を迎えた患者に対しては(緩解)維持療法を施すべきである。同じ症状が続いた場合には、軽・中症患者向けの他の方法を試すか、中・重症患者向けの治療に切り替えるべきである。

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posted by くろーん40 at 12:38 | Comment(6) | TrackBack(2) | クローン病について
この記事へのコメント
 シプロフロキサシン関連記事でTBさせて貰いました。
私は良く効いている様です。
Posted by ズルコビッチ at 2005年04月19日 17:51
シプロフロキサシンを服用している方、初めて聞きました。日本でも服用されている方がいるのですね。ちなみに保険適応なのでしょうか。
Posted by くろーん40 at 2005年04月19日 21:53
バイエルのシプロキサン錠200mgを1日4錠もらってます。たぶん同じ薬ですよね?

>保険適応なのでしょうか。

お金払って無いから保険適応だと思いますw
Posted by ズルコビッチ at 2005年04月19日 22:28
>たぶん同じ薬ですよね?
ですね。塩酸シプロフロキサシンというのが成分名で、シプロキサンというのが商品名のようです。
http://www.okusuri110.com/dwm/sen/sen62/sen6241008.html
Posted by くろーん40 at 2005年04月20日 08:59
治験とか新薬について関心があったので
とても参考になります。

シプロキサン、今はのんでませんが二年前くらいにはじめてのみました。
最初は効果があったみたいだけど、私の場合は
効かなくなりました。
フラジール(メトロニタゾール)とシプロキサンの併用も経験してます。
Posted by くろ at 2005年04月23日 21:24
くろさん、初めまして

>治験とか新薬について関心があったので
>とても参考になります。
有難うございます。

>フラジール(メトロニタゾール)とシプロキサンの併用も経験してます。
どうでしたか。やはり効果が上がった気がしましたでしょうか。
Posted by くろーん40 at 2005年04月24日 10:32
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