CCFAの『妊娠とIBD』という記事を邦訳した。
邦訳してみて分かったのは、薬に対する考え方がCCFAでは随分ゆるいということである。日本では絶対だめ、アメリカでもFDAの基準でもだめなのに、CCFAでは大丈夫といっているようなものがいくつかあることである。しかも根拠が分からない。
ではCCFAの記事は間違っているのかというと、そうとも言い切れない気がする。CCFAの記事は専門医によって執筆されており、根拠がないということは考えずらい。まああえて解釈するとすれば、臨床経験の長い医師が、動物実験では畸形が発生しているため、FDAでは絶対だめだとしているのに対し、自身の臨床経験からIBDの治療を優先して行った結果大丈夫だったという経験の積み重ねを元にして、大丈夫と書いているのではないかと推測する。
薬に関しては、判断が難しい。
IBD患者の妊娠・出産はいずれにしても十分に主治医と相談した上で、計画的に行うことが望ましいということは言えるであろう。
ちなみにCC Japan 28号
| 妊娠とIBD 子供が欲しいIBD患者は次のものを含め、色々疑問があるだろう。 . 私は妊娠できるのだろうか? . 妊娠によってIBDが悪化しないだろうか? . 病気自体、あるいは服用薬が赤ちゃんに悪影響を与えないだろうか? . 母乳で育てられるだろうか? 個々の病気の症状はそれぞれ異なる。妊娠に関するあらゆる選択は消化器内科、産婦人科の二人の医師との共同作業においてなされるべきである。が、ここでは大まかな答えを述べてみる。 受精とIBD 一般的に緩解期にある潰瘍性大腸炎やクローン病の女性患者は他の女性同様に妊娠が可能である。活動期にあるCD患者が妊娠するのは、より困難を伴うであろう。IBDの男性患者はまた別の話になる。スルファサラジンは精子の数を減らすので、主治医の了承の下に、この薬を服用している男性は他の5ASA製剤に変えるべきである。受精前の3ヶ月間、男性はメトキサレートを服用するのも避けるべきだ。また喫煙も親になりたいなら同様に避けるべきである。女性は妊娠前、妊娠中、あるいは授乳中にはメトキサレートを服用すべきでない。なぜなら胎児あるいは新生児に中毒症状が現れるからである。 IBDの女性患者における妊娠の効果 女性は妊娠する前には健康でなければならない。病気が再燃している時とか、新たな治療を始めたばかりの時とか、ステロイドを服用している時に妊娠するのは良い考えとは言えない。もしすでに妊娠しているならステロイドも含め(勿論主治医はステロイドの服用量を最低限にする努力を続けるべきであるが)、彼女がいい状態を維持できている治療法を続けるべきである。一部の女性は妊娠していることを知ると、薬が胎児に悪影響を及ぼすのではと心配し、薬の服用を止めてしまうことがある。もし、病気が再燃したら再びコントロールできるような状態に戻すのが極めて難しくなることもある。 一部では、妊娠中にIBDの症状が改善されることが実際ある。なぜなら妊娠中は胎児を排除するのを避けるため、免疫システムが抑制されるからである。IBD患者の女性の間では、この現象がしばしば緩解導入の手助けとなる。あるクローン病患者の女性を対象にした研究では、妊娠は将来の再燃も防ぎ、外科治療の必要性を減らすであろうことを示唆している。これは妊婦が出すホルモンで、リラキシンという子宮が不十分な状態で収縮するのを防ぐホルモンと関係している。リラキシンはまたしばしばクローン病患者が手術適応となる原因となる瘢痕(はんこん)組織の形成を防ぐ。 しかし、たとえ前回の妊娠で緩解を導入したことがあったとしても、再燃を治療する方法として妊娠を利用することはすべきでない。 IBDが妊娠、出産、胎児の成長に与える影響 IBDの女性患者が普通に妊娠し、出産する確率は健康な女性と変わらない。殆どの問題は活動期のCD患者に起こる。この病気の炎症を引き起こす蛋白質は流産、早産、死産のリスクを高める。通常流産は妊娠6回に対して1回の確率で起こるが、活動期の女性CD患者はそれよりやや高い確率となる。 妊娠中のIBDの薬物治療 殆どの場合、妊娠中でも薬物治療に変化は無い。もし女性の健康状態に変化が出た場合、薬を替えるか、服用量を調整する。次に一般的に使われる薬を挙げて置く。 . アミノサルチル酸 スルファサラジン(AzulfidineR)、そしてその他の5-ASA製剤(Asacol、ペンタサ、Rowasa、Canasaなどのメサラミン製剤、Colazalというバルサァザイド、そしてDipentumというオルサラジン)は(妊娠)合併症の確率を上げることはないし、また胎児にも影響を及ぼさない。スルファサラジンは吐き気や胸焼けを引き起こすだろう。5-ASA製剤を服用していても授乳は可能である。(訳者注:スルファサラジンは男性の精子を減らす副作用があるが、服用を3ヶ月中止すると元に戻る) . ステロイド剤 プレドニゾンなどのステロイド剤は妊娠中も安全であるが、妊娠した時点で服用していないことが最も望ましい。もしステロイド剤服用中に妊娠した場合、主治医は通常ステロイド剤の服用量を最低限にするよう努力するだろう。新生児の母親がプレドニゾンを中高量服用している場合小児科医は十分に観察すべきである。 . 免疫調整剤(免疫抑制剤) 一般的な服用量のアザチオプリン(イムラン)や6メルカプトプリン(6-MP,Purinethol)やシクロスポリン(Sandimmune, Neoral)は妊娠中でも問題ないようだ。 男性は受精前の3ヶ月間はこれらの薬の服用は避けるべきで、メトキサレートは男性も女性も避けるべきである。。(訳者注:スルファサラジンは男性の精子を減らす副作用があるが、服用を3ヶ月中止すると元に戻る) . 生物製剤 クローン病と潰瘍性大腸炎の治療薬として承認されているインフリキシマブ(レミケード)派胎児の成長や妊娠に伴う合併症のリスクを高めることはないようだ。また母乳にも影響を与えない。 . 抗生物質 可能なら妊娠中は避けるべきである。 . サリドマイド サリドマイドは奇形や死産を引き起こすので、妊娠中は常に避けるべきである。 |
妊娠中の薬の使用については、このサイトが非常に参考になる。
クローン病に関係するステロイドや免疫抑制剤の安全性については、ここにある。
ここに訳したCCFAの記事ではアザチオプリンや6-MPなどの免疫抑制剤は妊娠中も問題なく、男性が受精前の3ヶ月は止めた方が良い警告しているのに過ぎないのに対し、ここでは、薬の添付資料には『投与しないこと』とされ、米FDAの分類でも、D、つまり、『危険性を示す確かな証拠がある』とされている。一方、CCFAの記事では問題ないと言っているのか、根拠が分からないのだが。トラ先生のこの記事も参考になる。
| 妊娠中の検査 必要なら大腸内視鏡、S状結腸鏡、胃カメラ、直腸生検,超音波などの検査は妊娠中でも安全に行うことが出来る。妊娠中、CTスキャンとレントゲンは緊急の場合以外、使うべきではない。一方、MRIは妊娠中でも安全である 妊娠前後の外科手術の影響 以前腸を切った経験があってもクローン病女性患者の妊娠に影響は無いようだ。潰瘍性大腸炎のため回腸肛門吻合術(大腸と直腸を切除し、小腸末端にある回腸と肛門をつなげる手術)をした後でも多くの女性が妊娠に成功している。 潰瘍性大腸炎、あるいはクローン病のため回腸人工肛門になった場合、出産率がやや低くなるようだ。もし回腸人工肛門にする必要性がそれほど緊急なものでなく、子供を生む計画があるなら、主治医と回腸人工肛門手術をするタイミングを良く話し合うべきである。また回腸人工肛門を使っている、あるいは使ったことのある女性は妊娠中に脱肛になったり、回腸人工肛門が閉じてしまうことがある。妊娠前に術後1年の期間を取れば、その確率は低くなる。 肛門や膣の周りに瘻孔や膿瘍が出来ているクローン病患者は陣痛中に会陰切開術を恐らくすべきではない。これらのケースではしばしば帝王切開による出産が選ばれる。 親の状態が深刻で薬に反応しないということが無い限り、外科手術は出産後に延期されるべきである。どのようなものであっても腹部の手術は胎児をリスクに晒すことになる。 妊娠中に必要な栄養状態 IBDであるないに関わらず妊婦になろうとする女性は妊娠する前からバランスを考えた食事をとり、ビタミンにも気を配るべきである。それは脊椎披裂や神経管の奇形を避けるために葉酸も含まれる。葉酸はスルファサラジンを服用している女性に特に重要である。なぜならスルファサラジンは葉酸の吸収を妨げるからである。 IBDの遺伝 どちらか、あるいは両方の親がIBD患者である場合、子供もIBDとなることがあり、それは避けることが出来ない。もし、片方の親がクローン病、あるいは潰瘍性大腸炎だった場合、子供がIBDになる確率はおよそ9%ある。もし両親がともにIBDなら子供がIBDとなる確率は36%まで高まるだろう。(訳者注:アメリカと異なり、日本の場合、IBDが遺伝する確率は数パーセント以下と推測されている)。 |
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・・・もありましたが、知っておいたほうがよかったって、思うことばかりです。
ナイーブな問題なだけに、ドクターに、聞きにくい人も、いるはずです。
そんな私は、プリントアウトしちゃいましたw
子供欲しいなぁ。
あ、ソノ前に結婚かw
くろーん40さん、翻訳、ありがとうございました!お疲れ様っす!
出来ればいつかは妊娠・出産したいと思っていますが色々な不安があり、また主治医が若い男性と言う事でちょっと聞きにくい事もありましたので勉強になりました。
私もプリントアウトしとこうと思います(^-^;A
ほんとに、知りたい事が何から何までぎっしり書かれてあって感動しました。
不妊治療中の私にとって、すごく内容も濃くて、私もプリントアウトして残しておきたいと思います。
いつもいつも、役立つ情報を本当に有難うございます。これ程の情報集め、そして翻訳、有難うございます。
基本的には病気は妊娠出産に余り影響がないのでは、というのが、これを読んだ感想です。勿論、細かいところでは色々あるかと思いますが。
>子供欲しいなぁ。
>あ、ソノ前に結婚かw
oyukkieさんのようにお茶目な子供が出来たら楽しいですねw
うさこさん、
参考にしてくださったようで嬉しいです。確かに主治医が異性だと聞きにくいこともあったりしますよね。
たらこさん、
喜んでいただいて嬉しいです。
自分が独身の頃に発病していたらきっと知りたい情報のかなり上のほうに来ると思ったので、自分で翻訳してみました。
私の場合、その前に不妊治療が優先ですが(・ω・;A)アセアセ
やっぱり、妊娠中に薬を飲んで大丈夫なのかとか
かなり大事な問題なので、じっくり読めてよかったです。
ありがとうございました♪
参考になったということば、ありがとうございます。
CD患者の場合、まずは緩解を長く保ち、栄養状態を改善することが第一のようです。なかなか難しい課題ですが、困難を伴う治療も何かのためと考えると苦痛が減ったりしますからね。
患者会でも女性のほうがすごく熱心な印象ですし・・・。
いやいや男性だってCDの場合、精子に影響を及ぼす薬の副作用の話とか膀胱ろうとか結構大変ですよ。
寅先生のブログの記事
http://cduc.blog56.fc2.com/blog-entry-77.html
にも書かれていますが、とっても悩ましいです。
でもご主人も主治医の先生も賛成してくれているなら、とも思います。良い決断が出来ると良いですね。