造血幹細胞移植が何故クローン病の治療になるのかというと、クローン病患者の作られてくる白血球に異常があるため、血を製造する部分を置き換えてしまおうという訳である。従来の治療法が対症療法であったのに対し、根治療法であるとも言えるだろう。
以前、『骨髄移植によるクローン病の治療』と『幹細胞移植によるクローン病の治療』という題名の記事で、同じような治療法を紹介したことがあり、その時には骨髄が一致するドナーを見つけるのは難しいのではないかとか、死亡者がでるなど極めてリスクが高いという印象であった。
しかし、今回紹介する治療法の異なる点は、『自家』、即ち患者自身の細胞を使うことである。自家細胞を使うことにより、細胞の不適合のリスクはなくなり、回復も格段に早くなる。またこの治験では、治療を受けた中に死亡を始めとした深刻な副作用が無かったことも注目度をあげるきっかけになったと思う。
末梢の血を使ったものであることから、『自家末梢血幹細胞移植』とも呼ばれる。
この自家造血幹細胞移植による治療は、ノースウェスタン大学のBurt准教授や大山優講師らが、12人の難治性クローン病患者に対して、自家造血幹細胞移植(Autologous hematopoietic stem cell transplantation, "HSCT")を行ったところ、うち11人が長期の緩解を維持していると『難治性クローン病患者に対する自家造血幹細胞移植(英文)』という論文に於いて昨年3月に発表した。
以下論文の抄訳を書くと、
| この第一相治験ではレミケードを含む従来の治療に反応せず、CDAIが250から400の60歳以下の難治性クローン病患者12名に対し、HSCTを実施した。 具体的にはシクロフォスファミドと顆粒球群を刺激し、CD34陽性細胞を豊富にして、末梢血幹細胞を集める。そしてシクロフォスファミドをkg(体重)あたり200mg、馬性抗胸腺細胞グロブリンをkg(体重)あたり90mgにより免疫調整治療を行うものである。 その結果、予想された、血液減少症(cytopenias)、好中球減少性発熱などの発熱、下痢、拒食症、不眠症など深刻な副作用は発現せず、好中球と血小板の移植にかかった平均日数は、それぞれ9.5日(8〜11日)と9日(9〜18日)であった。 当初の平均CDAIは291(250〜358)で治療により徐々に効果が発揮され、12名中11名は治療によりCDAIは150以下となり、内視鏡で見てもその効果は確認された。平均18.5ヶ月の観察期間(7〜37ヶ月)の間に1名のみが15ヶ月目に再燃した。 |
ノースウェスタン大では引き続き、この方法を使った第二相治験が行われている。
自家末梢血幹細胞移植自体が歴史が浅く、副作用などが良く分かっていないいう面がある。
またそもそも造血幹細胞移植自体、クローン病のこれまでの治療に比べたら、格段にリスクが高いという面がある。
ただ自分の造血細胞を使うということは、拒否反応がない、回復が早いなどのメリットがある反面、今と同じような異常な白血球を含む血液が再生産されることにならないのだろうか。白血病などでも使われている治療法なので、そんな心配は要らないようだが、この辺の理論が分かる方がいらっしゃったら教えて下さい。
また現在、日本でもこの論文に基づき、『SLEなど難治性自己免疫疾患に対する自家、同種造血幹細胞移植の安全性及び有効性の検討に関する研究』という名前(厚生労働科学省データベースでこの名前で検索すると概要が出てきます)ですでに治験が開始されている。研究の題名は『SLEなど』となっているが、まず実績のあるクローン病を対象に始められており、順次他の疾患にも試して見ようとのことなのだろう。
研究のタイトルは『自家、同種』となっているが、クローン病については自家のみであり、基本的な手順はこの論文と同じ手法を使っている。
すでに昨年虎ノ門病院で第一号の治験が進行中だそうである。
主任研究者は虎ノ門の血液科の医師であるが、分担研究者として、社保中の高添先生や群馬県立癌センターの澤田先生といったクローン病患者にはおなじみの名前も含まれている。
☆人気ブログランキングに参加しています☆
☆クローン病の知名度を上げたいです。ランキングが上位になり、人の目に留まる様に是非クリックをお願いします☆


難病患者にとって、一番の望みは
対処療法ではなく、治療して欲しい・・・ということですよね。
命に関わる重篤な症状にでもならない限り、治験も受けたくありませんね。
でも、より安全性が確立されていくことと、若年層で発病した人のクローン病が根治されることを望む人たちが治験に参加したのでしょうね。だから、60歳以上の人が対象になったのではないかと思います。
私も60歳になったら治験に参加してもいいかな?
リスクはあっても、やはり根治という響きは魅力的です。
それに自分の結果によっては、
他のクローン患者の助けにもなりますしね。
まあもし親に相談したら、止められそうですけどね(笑)
でも移植となると、どうしても「怖い、危ない」というのが先行してしまいます…
良い研究結果が出ることを心から祈りたいです
<(_ _)>
クローン病でも同様の可能性が考えられるでしょうね。
因みに、今虎ノ門病院に乗り込んで、自費でやってくれと頼むと、1000万円くらいかかるよ、
との話をこれにかかわってる医師からききました。
> 自家細胞を使うことにより、細胞の不適合のリスクはなくなり
不適合のリスクは軽減されるのかもしれませんが、
感染症等、その他の死に至りうるリスクはなんら変わらないかと思うので、
この治療法の実施は十分慎重になる必要があるでしょうね。
白血病の場合、移植を行わない限り近い将来白血病によって
亡くなってしまうため、非常にリスクの高い治療でも適用と
なりえますが、クローン病の場合基本的には死なないですし、
代替の治療法もありますから、受容できるリスクのレベルは
当然低くなります。
そんなハイリスクの治療法を選んだら、たとえ患者本人が納得していようとも、
合併症により患者さんが亡くなったりした場合、治療の結果に
納得できない患者の家族が病院を訴え始めるのが目に見えている
ので、病院はやりたがらないのではないかな。
>対処療法ではなく、治療して欲しい・・・ということですよね。
そうですね。まずは一つでも根治療法が見つかるということは大事なことだと思います。
クローンライダーさん、
>より安全性が確立されていくことと、若年層で発病した人のクローン病が根治されることを望む人たちが治験に参加したのでしょうね。
やはりレミケでも病勢を止められずにQOLが耐えられないほど低いという患者さんが希望されたのではないかと思います。
>だから、60歳以上の人が対象になったのではないかと思います。
これは誤解です。60歳以下が対象です。
私も60歳になったら治験に参加してもいいかな?
>一度自分の骨髄幹細胞を破壊してしまわねばならないリスクは、あまりに大きすぎる気もします。
常識で考えたらそう思いますよね。どこまで安全性が確保できるのか、興味があるところです。
ホワイティさん、
>俺は今すぐにでも治験に参加したいですね。
すぐに○添先生から電話がかかってくるよw
>まあもし親に相談したら、止められそうですけどね(笑)
私が親でも止めると思います。だって今のままでもホワ君は十分楽しそうだからw
あかくろさん、
>でも移植となると、どうしても「怖い、危ない」というのが先行してしまいます…
そうですよね。やはり命にかかわるような症状でない限りは、と思います。
necoさん、
>クローン病でも同様の可能性が考えられるでしょうね。
そうなんですか。それはショックです。
> 感染症等、その他の死に至りうるリスクはなんら変わらないかと思うので、
この治療法の実施は十分慎重になる必要があるでしょうね。
無菌室の中とはいえ、自分の白血球がゼロになることを想像するとぞっとします。
>クローン病の場合基本的には死なないですし、
代替の治療法もありますから、受容できるリスクのレベルは当然低くなります。
その通りですね。
>そんなハイリスクの治療法を選んだら、たとえ患者本人が納得していようとも、合併症により患者さんが亡くなったりした場合、治療の結果に納得できない患者の家族が病院を訴え始めるのが目に見えているので、病院はやりたがらないのではないかな。
どこまでリスクを下げられるのか、また適応する患者の基準を作るなど、他の治療法とは別の手続きが必要になるかもしれませんね。
また移植後に同じ臓器に同じリンパ球がしばらくすると同じような炎症を起こす可能性があります。欧米では、すでにリューマチなどで自家骨髄試食が数百例が行われ、きわめて再発が多いことから、見直しの時期に入っています。
今後の展開としてはHLAの一致した臍帯血幹細胞による移植が根治の可能性を秘めています。
イリノイ大学はイリノイ州にあり、同じ州には炎症性腸疾患で有名なシカゴ大学(約3000人の患者さんを診ています)があります。これまでシカゴ大学は炎症性腸疾患の新しい治療のまとめ役を果たしてきました、シカゴ大学の動向を見守るべきでしょう。
自家骨髄移植でも死亡率が結構高いのですね。
しかも再発率も高いとは。それでは根治療法とはちょっと言い切れませんね。
まだまだ時間がかかりそうですね。