具体的には『難治性クローン病では本剤(インフィリキシマブ(商品名:レミケード
レミケードは現在単回投与と難治性のクローン病、特に瘻孔、外瘻、例えば 痔瘻、腸と腸. の間の瘻孔等の症例には 3 回までの投与が保険適応となっているものの、緩解維持のための反復投与はまだ保険の適応外であり、現在治験が行われていると聞いている。
実際欧米ではすでに単回投与や投与期間をあけた複数回投与は抗体を発現させてしまい、レミケードが効かなくなってしまうため、インフリキシマブの反復投与がスタンダードな治療となっており、日本でも保険適応外であるにもかかわらず、反復投与がすでにスタンダードとなっているように思える。
また同様に欧米ではインフリキシマブ投与の際には抗体の発現を防ぐために、アザチオプリンなどの免疫抑制剤を同時に服用することがスタンダードになっており、今回の治療指針案では『今後、栄養療法のみならず免疫抑制剤の併用効果についても本邦におけるエビデンスを確立する必要があろう』と言及されているにすぎないものの、日本でもすでに治療現場では免疫抑制剤の併用がスタンダードとなっていると思われる。
またインフリキシマブはペンタサ、ステロイド、免疫抑制剤では緩解を導入できないケース、或いは難治性の外ろうがある場合に投与を「行っても良い」と書かれている。先日の講演会でも参加した医師たちが、その効果に高い評価を与えていたインフリキシマブであるが、一方で、クローン病で超有名なある病院では予想した効果が上がらず、副作用にも悩まされたため、今後インフリキシマブを使用をしない方針となったとも仄聞している。「行っても良い」という表現は未だにこの薬の評価が定まっていないことを示しているのかもしれない。
『クローン病の治療指針案(2005)』の原文は厚生労働科学研究データベースの『検索語』に『炎症性腸管』と入れると一番上にヒットする『2004(平成16)年度 難治性炎症性腸管障害に関する調査研究』の最初のpdf文書200400783A0001.pdfの15ページ目から19ページ目にあり、無料でダウンロードできる。
論文が読みづらい、分かりづらいという人はJIMROに見やすいサマリーがアップされている。
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レミケは相当お高いようですね。
そうですよね。6割の人に効いていると言うのは書いてあるので、かなりの高い確率だと思います。
>レミケは相当お高いようですね。
薬価自体は113,190点と11万円ぐらいなのです
http://www.jah.ne.jp/~kako/topics/data02/tp02_yaka.html#1
が、付帯するものが色々あるようで大体30万円ぐらいだと聞いています。
1)内科疾患の治療は分子生物学の進歩によって劇的に変わります。
AIDSが死亡率の高い疾患から3剤併用療法によって21世紀にはコントロールできるようになりました。慢性肝炎は肝硬変に進むのを待つばかりでしたが、PEGインターフェロンとリバビリンという薬での導入で70%の患者さんはC型肝炎ウイルスが消滅し、硬くなった肝硬変の肝臓が正常に近いやわらかい肝臓に次第に戻ります。10年前には一度おきてしまった肝臓の繊維化変化はもう戻らないと教科書に書かれていたものです。
2)さてクローン病の治療はインフリキシマブ(レミケード)の使用によって劇的に変わりました。
Infliximab療法は日本でも欧米でも約70−80%の高い奏効率であり、狭窄や結核に注意すれば80%以上に有効であります。(有効率のグラフは私のブログをご参照ください)。Infliximabはクローン病という比較的な少ない病気ながら、劇的に有効だったので、最初の有効例の発表から、反復投与のの治験成績まで、世界的な医学雑誌NEJMやLancetに次々にその結果が掲載されたのだと思います。NEJMやLancetは世界的な医学雑誌であるため、多くの記事はひとつの研究に参加する患者さんが1000人を超えるような大規模な研究(=高血圧や心臓病や腎臓病など患者さんの多い)が掲載される雑誌です。クローン病はアメリカで50万人とされていますが、高血圧や心臓病に比べれば2桁少ないのです。リュウマチにおいてもinfliximabの効果は劇的で関節の破壊の進行が停止し、関節の変化が元に戻ることが示され、NEJMに載りました。これまでリューマチの薬では関節の破壊の進行は、鈍化することはあっても不可逆的であり、大量のステロイドによっても進行を防ぐのは困難でした。
3)クローン病は腸管の炎症が悪化すると、低栄養になるため、日本では20年間栄養療法が行われてきました。
栄養療法はなかなか継続困難であり、欧米の検証ではプレドニンに比べて、効果出現までの期間がおそく、コストがかかるため、中心的な治療とはされていません。日本では、栄養療法をうまく施行するために、経鼻注入など、さまざまな工夫がなされてきました。私自身、栄養療法は短期的には有効だと考えていますが、栄養療法を長期に施行した場合、セレン、亜鉛の不足、脂肪酸不足の問題が起きてきます。同時に栄養療法は食事の抑制につながるため、なかなか長期間にわたって維持できないのが難しいところです。
4)アザチオプリン(イムラン)は1980年にサイナイ病院のプレゼント先生がNEJMに有効性を報告しています。
アザチオプリンには骨髄抑制や悪性腫瘍の合併の問題がついて回ります。それまでアザチオプリン(イムラン)は白血病や腎臓移植に使用されてきました。一般にアザチオプリン(イムラン)を用いた患者さんでは悪性腫瘍合併が数倍高いということが1990年代までは支配的でした。この中には白血病や腎臓移植ではほかの免疫抑制剤や抗がん剤が同時に用いられるため、その影響かもしれませんので、本邦では保険適応が無いこともあわせて、使用に極めて慎重だったようです。炎症性腸疾患では1996年のLancetにフランスの先生方が平均7年以上使用した患者さんを解析し、それほど悪性腫瘍の合併は高くないという結果を出しています。最近では英国の先生方がアザチオプリンを10年以上使用した炎症性腸疾患1000人以上の解析で同様の結果を出しています。現在は炎症性腸疾患においては、アザチオプリン(イムラン)投与患者さんと投与しない患者さんにおいて悪性腫瘍の合併にはほとんど差が無いというのがコンセンサスです。なおアザチオプリンはこの6月に潰瘍性大腸炎、クローン病に適応が追加されています。
5)そんなわけで私自身は栄養療法とアザチオプリンとInfliximabを併用できる日本の患者さんは、ほかの国の患者さんに比べてもっとも病気の状態を安定した状態に維持できる可能性があると考えています。
コメント、ありがとうございます。
>Infliximabはクローン病という比較的な少ない病気ながら、劇的に有効だったので、最初の有効例の発表から、反復投与のの治験成績まで、世界的な医学雑誌NEJMやLancetに次々にその結果が掲載されたのだと思います。
なるほど画期的な薬なのですね。免疫作用を調整するということで他の自己免疫疾患の治療法にもかなり影響を与えたのではないでしょうか。クローン病に使えるものが最初に開発されたというのは患者としては幸運だったと思います。
レミケードの使用についてはこの記事
http://crohn.seesaa.net/article/18623798.html
の時に少し議論しました。良く効く薬であることは理解できるのですが、どのタイミングで使用するのか、つまり【効果>副作用】と判断するのかが難しい薬であるという印象もあります。この点についてもご意見をブログに書いていただけたらと思います。
イムランの副作用についての論文をご紹介いただき、ありがとうございます。後程検索して見ます。
イムランの使い方については、こちらに記事を書いています。
http://crohn.seesaa.net/article/546744.html
お時間がある時にコメントをいただけたら幸いです。